インプラントの治療が終了した後も、定期的な通院や普段のメンテナンス等、注意する点がいくつかあります。以下では特に治療後に発生しやすい事例を紹介しています。
義歯の破損や脱落
これは実際に私も経験した事例なのですが、人工歯が何らかの理由で脱落したり、硬いものを咀嚼した際に欠ける(割れる)といったトラブルに見舞われることがあります。
⇒人工歯を入れたことによる違和感との戦い
⇒人工歯の接続が再び緩む
上記の記事では、人工歯とインプラント本体(アバットメント部分)が緩んでしまうトラブルに見舞われた際の記事をまとめたものです。私はメンテナンス性を考えて、インプラント本体の固定を「スクリュー式」で行ったのですが、結果的にこの方法が緩みの原因となってしまいました。
また、人工歯はセラミックやハイブリッドセラミックを利用した場合、硬いものを食べた際に割れたり欠けたりする可能性がありますので、あまりにも硬いものは避けるようにしたほうが良いでしょう。
ただし、飴玉を砕いたりスルメを食べたりといった程度では大丈夫だと思います。あくまでこれは私個人の体感ですが・・・。万が一欠けてしまったり割れてしまった場合は、義歯を作り直すことになります。割れたままではインプラント本体にも悪影響となりますので、すぐに治療を行った病院で診察を受けるようにしてください。
歯周病(インプラント周囲炎やインプラント周囲粘膜炎)
インプラント治療後に最も気をつけたいのが、歯周病に関する口腔内の病気です。インプラント周辺は天然の歯に比べて、細菌に対する防御力が低い状態です(インプラントの治療後の通院についてを参照)。
日々のメンテナンスが適切であれば良いのですが、喫煙や過度の飲酒、口腔内の衛生状態が悪い等の環境が続いてしまうと、インプラント本体の周辺が歯周病に罹患してしまう可能性が高くなってしまいます。
特にインプラント周囲炎は骨の吸収を伴う疾患です。骨吸収が進めば、埋め込んで骨と結合したインプラント本体が抜け落ちる結果となり、治療が無駄になってしまいます。
インプラントを少しでも長く維持するためにも、毎日の丁寧なメンテナンス、定期的な通院と、自分の口内環境を常に意識するようにしてください。日々のメンテナンスに関しては歯科インプラントのメンテナンスについての記事で纏めています。
歯肉の退縮
退縮とは、簡単に言えばインプラントを埋め込んだ周辺の歯茎がやせ細ってしまう減少です。これはインプラント治療を受けた人であれば誰にでも起こる現象であり、防ぐのが非常に難しい生理的な現象であるとのことです。
インプラントがしっかりと骨に結合していたとしても、インプラント周辺の骨吸収は起こってしまいます。そして、骨が吸収されることで歯茎もやせ細ってしまいます。
私はインプラントを埋め込んで今年(2014年現在)で7年目となりますが、やはり若干の歯肉退縮が見られます。しかし、場所が左下の奥歯であることから、外観からそれを見ることはできません。歯磨きの際、自分で下唇を下に引っ張らなければ確認できない部位なので、それ程気になるものではありません。
ただし、この現象が前歯で起こると、審美的にも問題が出てきます。その対処として、前歯の埋め込みは通常よりも深くするそうなのですが、この辺りは執刀する歯科医と相談の上で、歯茎のやせ細りに関してもしっかりと相談を行うようにしてください。